ロシアのドーピングの歴史
2016 年、ロシアの国家ぐるみによるドーピング隠ぺいが明るみに出ました。
モスクワにある検査機関が 2011 年 ~ 2015 年において、577 件の陽性結果を把握していながら、上層部の指示で 312 件を陰性と認定したのです。
問題の調査にあたった WADA (世界反ドーピング機関) は、ロシアに国家ぐるみの隠蔽工作があったとしてリオデジャネイロ大会からの除外を勧告、CAS (スポーツ仲裁裁判所) も支持しました。これにより、ロシア選手は排除される可能性がありましたが、IOC (国際オリンピック委員会) が IF (国際競技団体) に最終判断をゆだねた結果、この年のオリンピックでは一部の選手に参加権が与えられました。
最終的に、2019 年 12 月、CAS より違反を認定され、大規模な国際大会ではロシア選手団として出場が禁じられています。最初は、4 年間の制裁という決まりでしたが、2020 年 12 月に 2 年間に軽減するという決断が下されています。
2020 年の東京オリンピック
2020 年の東京オリンピックにおいて、ロシアは「ロシア」としての出場はできませんでした。
IOC は潔白を証明できた選手のみ中立選手という立場で「ROC (ロシアオリンピック委員会)」として出場することを認めました。
国旗や国歌の使用は禁止されましたが、ユニホームにロシア国旗の白・青・赤色の使用は認められました。色に関しても中立の色にすべきだという声も上がり、この処分については甘いという批判が相次ぎました。
Embed from Getty Imagesウクライナ侵攻により状況はより厳しく
IOC はウクライナに侵攻したロシア選手を国際大会から除外するように各 IF へ勧告しました。これは、国連で採決した五輪休戦決議を破り、ウクライナに侵攻したためです。
さらに、FIFA (国際サッカー連盟) もロシア代表の大会への出場禁止を決めました。
すでにドーピング問題で窮地に立たされているロシアは自分で自分の首を絞める結果となってしまいました。
2024 年の夏季パリオリンピックは「ロシア」として出場できるのか
厳しい状況のロシアですが、最近 IOC がロシアを「ROC」として 2024 年のパリオリンピックへの出場を望んでいることを表明しました。
今後、IOC は ”中立的な” ロシアのアスリートのパリオリンピックへの参加を許可するでしょう。ウクライナでの戦争を積極的に支持したアスリートはパリオリンピックから締め出される可能性があります。
また、アメリカ合衆国のオリンピック委員会はすでにロシア選手のパリオリンピックへの参加を支持しているのです。これは今後、潔白なロシアのアスリートの大会への参加を後押ししてくれる材料となりえます。
ロシアはバレーボールの強豪国 (23.01 現在、世界ランク 5 位) のため、大会への参加によってよりバレーボールの試合が白熱することを祈るばかりです。